マヨヒガへの道

東方関係、主に霖之助と少女達のお話。時々旅行記。

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手料理

pixivに投稿してたお話。
ルナサはクーデレ、多分。








      ♪~♪~

魔法の森の更に奥。
再思の道のその先。

   ♪~

無縁塚と言われるその場所に僕は居る。
そこで外の世界から流れ着いた身元不明の遺体を荼毘に付しているのだ。

  ♪~  ♪~

決して、一緒に落ちている外の世界の珍しい道具を拾いに来たわけでは無い。

     ♪~      ♪~

いつもは一人で来ているのだが、ここ最近は様子が変わってきた。

「ルナサ」

彼女は騒霊のルナサ・プリズムラバー。
この無縁塚に来てからずっと奏でていたヴァイオリンの弓を止め、視線だけをこちらに向ける。

「そろそろ帰ろう」

コクリと頷き、担いでいたヴァイオリンがスッと消える。
彼女が使っているのは実物ではなくヴァイオリンの幽霊……らしい。
詳しく聞いても幽霊としか答えてくれないので、そういうものだと納得させる。

「今日拾ったのは何?」
「今日の目玉はこれかな」

僕は手のひらに収まる大きさの薄くて四角い物を彼女に見せた。
どこに居ても伝言を受け取ることが出来る物らしい。
ポケベルと言う名前で呼ばれていたようだ。

「使い方は判りそう?」
「まだ詳しく見てないから何とも言えないね」
「そう」

興味がなさそうにあっさりとした返答をするものの、目線はジッとポケベルに釘付けだ。
数日過ごしてみてから判ったのだが、これが彼女の性格らしい。


ルナサと一緒に無縁塚に来る様になったのは訳がある。
僕にオルゴールの修理を依頼してきたのが事の発端だ。

――「ここは道具屋であって工房では無い」
――「魔理沙の八卦炉や霊夢の服を直しているから、そういうお店なのかと」
――「それをどこで?」
――「本人達から、二人とも嬉しそうだった」

身内贔屓だと変な噂をされても困るので引き受けることにした。
これは口止め料代わりだと思い修理していたのだ。
そして修理は無事済み彼女に引き渡そうとしたのだが。

――「ごめん、お代の事をすっかり忘れてた」
――「別にそれは構わないのだが」
――「そう言うわけにもいかない、何か手伝わせて欲しい」
――「それなら……」

かくして、ルナサに店の手伝いをして貰うことになった。
傍目にはやる気がなく暗い印象を受けるが、指示には素直に従い、何をするにしても真面目だ。
そして何より、彼女の手が空いているときに奏でる音楽が心地よい。

「聞きすぎるとあまり良くないから」と言い残し、店から離れた所で練習を始める。
微かに聞こえるヴァイオリンの音が、心を落ち着かせてくれる。
物事を考えたり、道具の使い方を調べるときには丁度良い。

『鬱の音を演奏する程度の能力』

その事を知った僕は、彼女に無縁塚へ来て貰う事にした。
鬱の音を演奏して貰い、幽霊や亡霊を静めて貰おうと思ったのだ。

はたして僕の見込み通り、幽霊達は大人しくなった。
幽霊達が居ない分、視界を邪魔するものが無くなり落とし物が拾いやすくなったのだ。

こんな優秀な子が来る切っ掛けとなった魔理沙と霊夢に感謝しておこう、気持ちだけ。



「霖之助」
「なんだい?」
「今日は私が夕飯を作ろうか?」

珍しく彼女から積極的な提案だ。
あまりこういう事は言わないと無いと思っていたのだが。

「それは有り難いが……」
「『ぽけべる』の事は調べないの?」

む、鋭い所を衝いてきたな。
僕はポケベルの事がさっきから気になって仕方がないのだ。
返答に詰まる僕の様子を見た彼女がたたみ掛けてきた。

「だったら私に作らせて欲しい」

ここまで言ってくれるのだ、ここは一つお言葉に甘えさせて貰おう。
それに騒霊の作る料理と言うのも気になる。

「それじゃあ、お願いするよ」

僕の返事にコクリと頷き返す。



店に帰った僕達は二手に分かれる。
ルナサはそのまま台所へ。
僕はそのままポケベルについて調べる事にした。

どこに居ても伝言を受け取ることが出来る物か。
外観は枠で囲まれた緑青色の部分が大部分を占めており、それ以外には何もない。

そして枠の形式は見たことがある。
色は違ったが、以前紫に持って行かれた「音楽を大量に携帯できる物」にも同じような物が付いていた。
そいつには丸い円盤の様な物も付いていたが、今思うとそれで操作が出来たのかもしれない。
その事に気が付いた今、手元に無いのが悔やまれる。

しかしこのポケベルには操作出来るような物が何もない。
つまり勝手に伝言を受け取ると言うのだろうか。

伝言の伝え方も、声での伝言なのか、文字での伝言なのかが問題だ。
声での伝言だと聞き逃す可能性がある……つまり。


「霖之助、夕食が出来たよ」

ヒョコッと顔を出したルナサの声でフッと現実に戻る。
いつの間にか日は落ち、部屋の中が薄暗くなっている事に気が付かなかった。

「ああ、ありがとう」
「ところで、何処で食べれば良い?」
「こっちに持ってきてくれるかい?」
「わかった」

ポケベルやその他に出していた物を机の上から片づけ、椅子をもう一脚準備する。

「これで机の上を拭いておいて」

ルナサから布巾を受け取り机の上を綺麗にする。
普段は面倒なのでやらない、と言うと彼女に怒られてしまった。

綺麗に机の上を拭き終えると、料理の盛られた皿が静かに並べられていく。
そして皿に盛られているのは。

「卵焼きかい?」
「違う、オムライス」

炒めたご飯を卵で包んだ料理だったか。
聞いたことはあったが、食べるのは初めてだ。
そう言えば卵はどうしたのだろうか?
確か一つも無かったはずだが。

「野鶏の巣があったから少し貰ってきた」

何処で見つけていつの間に拾ったのだろうか。
彼女の視野の広さには恐れ入る。
今度彼女にも拾い物をやって貰おうか、何か良い物を拾ってくれるかもしれない。

何はともあれ、まずは目の前のオムライスから片づけることにしよう。

「いただきます」
「いただきます」

席に着き、卵を産んだ野鶏に感謝し、オムライスに手を付ける。
フワッとした卵から覗く醤油で炒めたご飯の匂いが食欲をそそる。
そして口の中に一口放り込む。


……これはなかなか。
なるほど、夕食作りに手を挙げるだけの事はある。
こんなに美味しいのを食べるのは久しぶりだ。
そして二口目に手を付けようとしたときに、ルナサがこちらをジーッと見つめているのに気が付いた。

「なんだい?」

そんなに見られると食べにくいのだが……
それとも僕の顔に何か付いているのだろうか?

「何でもない」

彼女はゆっくりと首を振り僕から目を逸らす。
やっぱり何か顔に付いているのだろうか?
口周りを拭ってみるが、手には何も付いてはいなかった。

「……その」

やっぱり何か付いている様だ。
どこだろうか?

「妹達以外に食べて貰うのは初めてだから」

なんだ、そういう事か。
それなら別に言い淀む事も無いだろうに。
妹達以外に食べて貰うというのは何か特別な事なのだろうか?
そう言えば先ほどから少し耳が赤いがどうかしたのだろうか?

「おいしい?」
「ああ、おいしいよ」

妹達以外の理由や耳が赤い理由を考えていたので、咄嗟に答えてしまった。
しかし美味しいと言うのは嘘では無く本心である事は間違いない。




「よかった」

彼女は僕に初めて笑顔を見せてくれた。
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  1. 2011/05/31(火) 22:47:33|
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