マヨヒガへの道

東方関係、主に霖之助と少女達のお話。時々旅行記。

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盤外の思惑 Bルート

pixivに投稿してたお話。
別パターン的な。







「も~み~じ~」
「きゃぅ!」
「そんなに気合い入れて何処へいくのかなぁ?」

 こんな事を聞いているけど、行く先は一つしか無いって事を私は知っている。
 一張羅を引っ張り出して、紅までしっかり差してまぁ。
 この気合いの入れ方が椛らしいといえば椛らしい。

「もぅ、にとりー」
「あっはっはっ、ごめんごめん」

 やれやれ。
 しかし、椛もあの朴念仁の何処に惚れたんだか。

「それで?何処へ行くのさ」
「ええっと、香霖堂なんだけど……」

 あの日、霖之助と二人きりにするのは少し不安だったんだよね。
 や、霖之助は良くも悪くもあの通り、手を出したりそういう事はしないだろうけどさ。
 時たま見も蓋もないこと言いそうじゃない?

「ほほぅ、近頃は香霖堂通いがご熱心ですなぁ」

 将棋盤を置いて帰ったときは不安が的中したのかと思って少し焦ったよ。
 話を聞こうにも俯いたままで何も教えてくれないしさ。
 ま、落ち着いてから話を聞いたら何て事無かったんだけどね。

「うん、霖之助さんと将棋の約束をしたからね」

 しかし、まぁ。
 椛も霖之助の事を下の名前で呼べるようになったみたいだし。
 少しずつ良い方向に前進している、かな?

「にとりも一緒に行く?」

 んーどうしようっかな。
 邪魔するのも悪いような気もするんだけどね。

「おっけー、ちょっと待ってね」

 ま、ちょっと様子を見てみようじゃないか。

「ところ将棋の方はどんな感じなんだい?」
「霖之助さん、覚えるのが早くて……
 このままだとあっと言う間に抜かれちゃいそう」
「確かにねー、将棋とか囲碁とかそういうの得意そうだもんなぁ」

 私が直感派なら霖之助は理論派、かな?
 外の道具一つ取っても、道筋立てて理論的に考察してるしね。
 ちょいとばかし偏屈なのが考え物だけど。

 そんなことを考えていると、あっと言う間に香霖堂に到着した。
 ここまで結構、距離があるハズなんだけどなぁ。

「こんにちは」
「おや、いらっしゃ……なんだ、にとりもいたのか」
「なによー、私が居ちゃいけないの?」
「いや、そんな事は無いさ。ただいつもは椛だけだから予想外でね」
「ふはは、その油断が命取りになるのだよ霖之助くぅん」
「……なんだいそれは?」

 私も何が命取りになるのかさっぱりだよ。

「あ、そうだ、霖之助。私と一局指してみない?」


「僕とにとりがかい?
 だが、まだ勝負にならないだろう?」
「当然じゃない。そこで椛の登場さ」
「え?えっ?」

 ああ、ごめん。急に振って悪かったって。
 だから、尻尾を隠して怯えないでよー。

「私が相手になって、椛が隣で教えるって形でどうだい?。
 そうすれば椛も集中できるでしょう?」
「ふむ、それは一理あるな」
「でしょ?椛もそれで良いよね?」
「う、うん……」
「それじゃそーいう事で。霖之助ーほら、早くー」
「まったく……」

 苦笑いする霖之助をよそ目に居間へと転がり込む。
 はてさて、これで霖之助と椛の仲が進めば良いんだけどね。

 そんな軽い気持ちで提案したんだけど。


「なるほど、これが以前に言っていた……」
「はい、そこで……」

 よしよし。
 最初は椛だけが少しぎこちなかったけど、手が進むに連れて徐々に慣れて来たみたいだね。
 ここ最近ずっと通い詰めてた所為かな?
 いつの間にか肩が触れ合う距離にまで近づいてるんだよね。
 それを指摘して椛をからかうのも楽しいんだけど、ここは大人しくして。

「ん……」

 あれ?
 なんだろ?
 
「と、言うことはこの場合はこうすれば良いのかい?」
「いえ、それだと獅子に取られてしまいます」

 何て言ったら良いのかな?
 滝から飛び込む時と同じ、胸がキュッと締め付けられるような。
 そんな感覚。

 変なの、意識し始めたら今度はドキドキしてきたじゃない。
 一体なんだって……

「にとり?」
「ひゅいっ!?」
「えっと、大丈夫?」
「あはは、ごめんごめん。ちょっとボーッとしてたよ」

――パチッ

「え?」

 まったく、椛はいったい何に驚いて……?

「あ……」

 自ら打った悪手に気が付いたときにはもう既に遅く。
 あれよあれよという間に、拮抗していた盤上が雪崩を打ったかのように崩れ去る。

 当然ながら結果はボロボロ。
 我ながら酷い一局だったと思う。

「……」
「ねぇ、にとり。大丈夫?」

 心配してくれている椛の視線を受け止めることが出来ない。
 何もない、何もしていない筈なのに。すごく後ろめたい。

「……ごめん、魔理沙との約束を忘れてた」
「あ、ちょっとにとり!?」

 それに絶えきれず、してもいない約束をでっち上げて逃げるように駆け出す。

 この場に居たくない。
 ただそれだけの理由でがむしゃらに走り続ける。

「はぁはぁ……」

 どれくらい走ったのだろうか?
 足が動かなくなった所で立ち止まってから、目を閉じて息を整える。

 けれども、瞼に浮かぶのは楽しそうな二人の姿。

「っ……」

 また胸がズキンと痛む。

 もしかして私は……

 思い当たる節が浮かび、それを打ち消すかのように頭を振る。
 そうだ、そんな筈は無い。
 あってはいけない。
 これは……そう全力で走っていたからだ。



 そうに、違いない。
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  1. 2011/05/31(火) 23:04:31|
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