マヨヒガへの道

東方関係、主に霖之助と少女達のお話。時々旅行記。

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嘘の付き方

pixivに投稿してたお話。
そこそこ鬱展開です。







 魔理沙が壊れてしまった。

 事の発端は魔理沙と霊夢が弾幕ごっこをしていた最中に起きた。
 端的に言ってしまえば、魔理沙の弾幕に当たった霊夢が空中で意識を失い、落下。

「魔理沙」
「ああ、香霖か」

 人間の身体は思っている以上に脆い。
 それなりの高さ、ましてや頭から落ちた人間が助かる術は無い。

「調子はどうだい?」
「悪くないよ、なぁ、霊夢?」

 ベットから起きあがった魔理沙が傍らの人形に語りかけると彼女に応えるように手をあげる。
 霊夢を模したその人形は、彼女らの友人であるアリスが作った物だ。

 不可抗力とはいえ、自らが放った弾で親友を失ってしまった魔理沙。
 けれども僕やアリス、それに周りの人妖に支えられどうにか立ち直ることが出来た。

「ホント、霊夢には世話になりっぱなしだぜ」

 事故というのは得てして不幸な物だと思う。
 外を出歩けるまで回復した魔理沙は、アリスの家を訪れた。
 そして、彼女はある人形の前で取り乱し始めた、らしい。

――いきなり叫びだして、頭を抱え込んだままその場に倒れ込んだから何事かと思ったわ。
――私もどうしたら良いか分からなくて……どうしようか考えてる内に魔理沙がスッと立ち上がって。
――『お、霊夢。久しぶりだな!ったく、見舞いぐらい来て欲しかったぜ』
――って。

 魔理沙は立ち直ったのではなく、霊夢のことを忘れていただけなのだと思う。
 しかし、アリスの人形が引き金となり、魔理沙は現実と妄想の区別が付かなくなってしまった。

「魔理沙、あまり霊夢に迷惑をかけてはいけないよ?」
「分かってるって、なぁ、霊夢?」

 虚ろな瞳で人形に魅入る魔理沙。

「ほら、霊夢だって「そんな事は無い」って言ってるぜ?」

 無論、人形が喋る筈は無い。
 だがその代わりに、手を動かし魔理沙に応える。
 恐らく彼女が無意識の内に魔法を使い、人形を操っているのだろう。

「そうかい?それなら良いんだが」
「香霖は色々と気にしすぎだと思うぜ」

 クックックと笑う様は、元気だった頃と少しも変わらない。

「それじゃ、そろそろ失礼させて貰うよ」
「もっとゆっくりしていけば良いのに、なぁ、霊夢?」

 人形に話しかける魔理沙を見ていると居たたまれない気持ちになる。
 僕もまだ魔理沙の事を受け入れる事が出来てないのだと思う。

「生憎と今日は色々とやることがあってね」
「そっか、それなら仕方がないな」

 どうして、こういった所は変わらないのだろうか?
 いっそ、徹底的に壊れてくれれば良いのに、と思ってしまう。

「ああ、それじゃぁ魔理沙、また明日」
「おう、また明日な!」


コウシテボクハウソヲツク


ドアの前で息を整え、覚悟を決める。

――コンコン

「こんにちは、霖之助さん」
「いらっしゃい、アリス」

 頬の肉がげっそりとこけた霖之助さんが、ドアのスキマから顔を覗かせる。

「いつも魔理沙の為に申し訳ないね」
「いいのよ、霖之助さん気にしないで」
「ありがとう」

 先を行く霖之助さんの後ろ姿は、以前にも増して酷く痩せこけている。

「魔理沙、アリスが来てくれたよ」
「……」

 霖之助さんの呼びかけに黙ったまま手を振って答えてくれる。

「最近は魔理沙も調子が良くなってきてね」
「そうなの?」
「ああ、そろそろ霊夢の人形も要らなくなりそうだ」
「ふふっ、霖之助さんの手厚い看護のおかげかしら?」

 自分では笑ったつもりだけど、本当に笑えているのかどうか不安になってくる。

「良かったわね、魔理沙」
「……」
「それじゃ、何かあったら遠慮無く呼んでくれ」
「ええ、わかったわ」

 霖之助さんが部屋から離れたのを確認して、魔理沙と霊夢の人形を手に取る。

「はぁ……」

 どうしてこうなってしまったのだろう?

 端的に言ってしまえば、霖之助さんが壊れてしまった。
 原因は彼が妹の様に可愛がっていた魔理沙が……殺されてしまったのだ。

 人里の外れで霊夢と共に倒れている所を発見された。
 状況から察するにどうやら人妖の男衆に手込めにされたらしい。
 血の海と言って良いほどの大量の血痕が、彼女らが何をされたかを雄弁に物語っている。

 虫の息だった霊夢は人間達の手によって直ぐさま永遠亭に運ばれ、今も治療を受けている。
 博麗結界の管理者である巫女を手厚く看護するのは当然の流れ、だと思う。

 悔しいけれど、私だってそうする。
 だから、何でもない只の人間である魔理沙はどうしても後回しにされてしまうのだ。
 決して魔理沙は見捨てられたわけでは無いのだけど。

 だけど。

「納得出来る訳じゃないものね……」

 知らせを聞いた霖之助さんが制止する兎たちを振り切り、魔理沙と対面し雄叫びをあげたらしい。
 そこで彼は何を見、何を思ったのか、私には分からない。
 ただ、魔理沙と最期のお別れの時に開かれなかった棺からある程度は察することが出来る。

 その日を境に、霖之助さんは人が変わってしまった。
 虚ろな瞳で魔法の森を彷徨っている所を私は何度も目撃している。

 けれどもある日、霖之助さんが私の元を訪れた。
 以前と同じとても穏やかな目をしているので、少し安心した。
 きっと、霖之助さんは魔理沙の死を乗り越えられたのだ。

――アリス、一つお願いがある。



「霖之助さん終わったわ」
「有り難う、助かるよ」

 人形を元の位置に戻し、彼を呼び戻す。

「僕が身体を拭こうとすると魔理沙が嫌がるからね」

 彼の中ではそうなっているらしい。
 だから私はそれを使って人形達に一つの細工を施している。

「そりゃ、女の子だもの、仕方ないんじゃない?」
「まぁ、それはそうなんだが……」

 霖之助さんの声に人形が何らかの仕草を取るという、至ってシンプルな魔法。

「ああ、すまない魔理沙、そう言う意味じゃ無いんだ」

 人形操作の応用なので、定期的に命令をかけ直さなくちゃいけない。
 だから毎日ここに来て命令のかけ直しをするのだ。

「それじゃ、そろそろ失礼させて貰うわ」
「もっとゆっくりしていけば良いのに、なぁ、魔理沙?」

 人形に話しかける霖之助さんを見ていると居たたまれない気持ちになる。

「ごめんなさい、今日は色々とやることがあって……」
「そうかい、それなら仕方がないね」

 本当にこれで良かったの?
 何度も自問自答を繰り返したけど、答えはみつからない。

「それじゃぁ魔理沙、霖之助さん、また明日」
「ああ、また明日」


コウシテワタシハウソヲツク
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  1. 2011/05/31(火) 22:59:50|
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