マヨヒガへの道

東方関係、主に霖之助と少女達のお話。時々旅行記。

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Present for......

pixivに投稿してたお話。
レミリアを幼くしすぎた感じが否めません。







「霖之助!居るかしら!?」
「おやレミリア、いらっしゃい」

 無縁塚で拾った物を調べる手を止め顔を上げる。

「いったい今日はどうしたんだい?」
「あなたに朗報を持ってきてあげたわ!」

 胸を張って自信満々な様子だが、彼女がこう言うときは大抵ろくな事がない。
 無論、偏見や思いこみでは無く、僕の経験に基づく予想なのだ。

「光栄に思いなさい、霖之助。
 私がここで働いてあげるわ」
「……それはありがたいね。
 ああ、丁度良い、君におあつらえ向きの仕事が一つある」
「あら、流石は何でも揃うと評判の香霖堂ね。
 一体どんな内容なのかしら?」

 そう、ここに無い物は無い。

「まず、後ろを向いてくれるかい?ああ、そうだね、そんな感じだ。
 そして、ドアノブを回して表に出て貰いたい。
 よし良いぞ、後はゆっくり静かにドアを閉めてくれれば今日の仕事はお終いだ。
 ああ、そうそう、明日から来なくてもいいから」

 やれやれ、コレで落ち着いて……

「霖之助?」
「なんだい?」
「右の首筋と左の首筋、貴方はどちらから血を吸われるのがお好みかしら?」

 ニコリと微笑む、その天使のような悪魔の笑顔にフッと魅入ってしまいそうになる。

「どちらも好みじゃ無いのでね、遠慮させて頂こう。
 それで?どうしていきなり働こうと思ったんだい?」

 あわよくばそのまま、と淡い期待を抱いていたのだが、世の中そうは上手くいかないように出来ているらしい。
 しかし、まぁ、僕もそんなに忙しいわけではない。
 ならば彼女の思いつきにつきあうのも悪くは無い。

「ええ、そろそろクリスマスでしょう?
 だからパチェと相談して、こっそり集めたプレゼントを紅魔館の皆に配ろうって決めたの」
「なるほどね。
 しかし毎年の事ながら、吸血鬼とクリスマス、という組み合わせはどうにも慣れないものだね」
「ふふっ、パーティーの口実に使ってるだけよ、そろそろ慣れて欲しいわね」

 くすくすと笑う様は、正に悪戯を思いついた子供の様だ。

「それで、咲夜にも秘密にしたままプレゼントを集めようとするとお金が全く使えないの」
「それなら里で働けば良いじゃないか、仕事が多いしプレゼントの種類も豊富だろう?」
「イ・ヤ・よ!何で人間の下で働かなくちゃならないのよ」

 何もそこまでいやがる事は無いだろう。
 それに僕だって……

「でも霖之助は半妖でしょう?だからまぁ、半分ぐらいは我慢してあげるわ」

 そう大差無いと思うのだが、彼女にとっては重要な事なのだろう。

「しかし、意外だね」
「何がかしら?」
「君が働いてまでプレゼントを用意する事がだよ」

 彼女もまた、魔理沙や霊夢みたいに勝手に商品を持ち去るのつもりでは無いのか?と身構えていたのだ。
 もっとも、レミリアと咲夜なら後々に必ず代金の支払いに来るので、『ツケ』として扱っても問題ないのだが。

「仕方がないでしょう?他に方法が無いもの。
 それに香霖堂へ行くってパチェに伝えたら、良いアドバイスをくれたの」
「へぇ?どんなアドバイスだったんだい?」
「イザという時には体を使えば良いって……何よその顔は」
「いや…すまない、彼女の言う通りだと思ってね」

 文字通りに受け取る所は実にレミリアらしい。
 とはいえ、その友人の言葉通りの事をされても困るのだが。

「仕方ない、そう言う事情なら僕も協力しよう」

 手持ちが無いとはいえ、彼女は『働く』という誠意を見せてくれたのだ。
 ならば、僕もその誠意に応えねばなるまい。

「まずは在庫整理から手伝って貰おうか。
 そこに積んである箱を全て店の裏手へ持っていってくれるかい?」
「あら、そんな簡単な事で良いのかしら?」

 よいしょ、という掛け声と共に、一抱えほどある箱をしっかりと掴み持ち上げる。
 それなりの重さがあるはずなのだが、そんな様子を微塵も見せない。

「霖之助、ドアを開けて貰えるかしら?それと日傘もお願いね」
「……自分にお願いしたらどうなんだい?」
「もぉ!出来ないから霖之助にお願いしてるんじゃない」

 ドアはさておき、確かに日傘を差してあの荷物を運ぶのは不可能だろう。
 片手で出来なくもないが、バランスを考えるとかなり難しい。

「どちらからいけば良いのかしら?」
「左手から回っていくと良い」

 ドアを開け放ち、レミリアを日傘の陰へ迎え入れる。
 日差しから守るように、連れ立って裏手へと回る。

「この辺で良いかしら?」
「ん、ああ、そこに置いてくれ」

 僕が指した場所に箱を置き、店の中に戻る。
 そして、もう一つある箱を同じように裏手へ持っていく。

「よし、これで最後ね」
「……」

 この理不尽さは何だろう。
 彼女は僕の手伝いをしている筈なのに、何故か僕が彼女の手伝いをしている。
 これなら僕自身の手で運んだ方が早かっ……

「きゃぁ!」

 ガシャンとガラスが砕ける音と共にレミリアの悲鳴。
 一瞬何事かと身構えるが、段差に躓いただけらしい。

「うー何なのよ、もぅ……」
「怪我は無いな?」
「う、うん、大丈夫だけど」

 歯切れが悪いのは無惨な姿をさらしている数々の食器の所為だろう。
 しかし、幸いと言うべきか、これらは元々処分するつもりでいたのだ。
 僕としては処分の手間が省けて一石二鳥と言うわけだ。

「レミリア、店の中にホウキとちりとりがあるから、それを持ってきてくれ」
「ホウキとちりとりね!分かったわ!」

 聞くや否や、勢いよく店の中へ消えて……。

「わきゃっ」

――ドン!ガラガラ……

 案の定とでも言うべきか。
 もう一つ掃除の追加である。




「あんな壊れやすい物を運ばせるからいけないのよ」

 明らかな責任転嫁である。
 その事について一言言いたいが、わざわざ火に油を注ぐような真似はしたくない。

「ところで霖之助」
「なんだい」
「こんな人気の無い道を通って、私は何処へ連れて行かれるのかしら?」

 冬だというのに、彼岸花の葉が色濃く茂る道を二人で歩む。
 秋であれば彼女好みの真っ赤な華が咲き誇っていただろう。

「この先にある無縁塚に用事があるのさ」
「あら、お知り合いのお墓参りかしら?」
「生憎と無縁塚に入るような縁者は居ないよ……ほら、到着だ」

 こじんまりとした広場の片隅に、持ってきた風呂敷を拡げる。
 ふよふよと漂う幽霊達が「何事か?」と言わんばかりにこちらに興味を示している……気がする。

「それで、こんな素敵な場所で一体なにをするのかしら?」
「なに、商品の仕入れさ」
「……墓荒らし?」
「失礼な事を言わないで貰いたいね、無縁仏を弔った手間賃を頂いているだけだよ」
「……そう言う事にしておくわ」
「おっと、他の連中には秘密にしておいてくれよ?」

 魔理沙辺りにでも知られたら商売あがったりだ。

「霖之助の頼みなら仕方ないわね」
「ああ、よろしく頼むよ」
「ふふっ」

 ……僕は何か変な事を言っただろうか?。

「ううん、そうじゃないわ……うん、私と霖之助だけの秘密ね」
「ん?ああ、そうだな」

 まぁ、そういう事になるだろう、他に誰もいないのだし。

「さぁ霖之助!私は何をすれば良いのかしら?」
「そうだな、とりあえず……」

 グルリ、と辺りを一瞥する。

「この幽霊達を一掃してもらおうか」
「ええ、任せなさい!」

 降りかかる火の粉を払うのは容易いが、火元を消しておけば火の粉が飛んでくる事も無いだろう。

「それじゃぁ行くわよ!」

 そんな軽い気持ちでレミリアに露払いを頼んだのだが。

――紅符「不夜城レッド」

 スペル宣言を終え、宙に浮いたレミリアが両手を拡げて光を放つ。
 夕日とは全く異なる紅い光が強くなるに連れて、何かイヤな予感がしてきた。
 まるで彼岸花が咲いているかのような錯覚を覚えるほどに、無縁塚全体が真っ赤に染め上がる。

 いや、これは、もしかして。

「レミ……」
「吹っ飛べー!」

 紅く染まり行く視界の中で、僕が最後に見たのは、とてもとても楽しそうなレミリアの笑顔だった。







 あの後、僕はレミリアが吹き飛ばした無縁塚で幾つかの道具を拾い、帰路についた。
 あまり道具を拾う事が出来なかったのは、面倒だからと楽な方へ逃げてしまった報いなのかもしれない。

「……」

 それにしても先程からレミリアの様子が少しおかしい。
 プレゼントについて楽しく語っていた往路とはうってかわって、離れて僕の後ろに付いてくる

 ……ああ、そうか。

「レミリア」

 魔理沙が幼い頃に、同じような事が何度もあった。

「眠いのかい?」

――ふるふる

 そう、魔理沙もそうやって眠そうな顔を振り、否定していた。

「おいで」

 地面に片膝を着きレミリアに呼びかける。

「出来れば日が暮れる前に森を抜けておきたいからね。
 このままのペースだとどうも間に合いそうに無い」

 プライドの高い彼女の事だ。
 こういった理由でも無い限り、僕の呼びかけに応じる事は無いだろう。

 はたして、レミリアは重い足取りで近寄り、僕の背中へと乗ってくれた。

「よし、行くぞ」

 小さな重みと、暖かな感触を背中で確かめ立ち上がる。

「……霖之助」
「なんだい?」
「ごめんなさい」

 自信に満ちた普段とはうって変わって、とても弱々しい。

「眠たくなるのは生理現象だからね、気にする事は無いさ」
「違うの、そうじゃなくて」

 一体どうしたというのだろうか?

「えっと、お店の商品と…無縁塚の事…
 霖之助も迷惑だったでしょう?」

 なるほど、ね。

「君はわざとそういう事をした訳じゃ無いんだろう?」
「うん……」
「なら気に病むことは無い、今回はたまたま運が悪かっただけだ」
「……本当に?」
「ああ、本当だとも」

 無縁塚に落ちていたであろう、外の道具を拾えなかったのは少々悔しいが。

「へへ、そっか……」
「レミリア?」
「……すー」

 やれやれ、どうやら眠ってしまったようだ。
 レミリアが落ちないようにしっかりと支え直し、再び歩き始める。

「さて」

 最後の仕事をしようか。

 内容はとても簡単だ。

 けれども、レミリアに手伝わせることが出来ない、僕だけの仕事。


「届け先は紅魔館で良いかな?」
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  1. 2011/05/31(火) 22:58:07|
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